成人の日、東京国立競技場で高校サッカーの決勝戦が行われました。前橋育英高校が2度目の全国優勝。前回の優勝は舞台が埼玉スタジアムだったので、国立競技場では初めての栄冠です。おめでとうございます。山田監督は、私が25年前に高校サッカーの全国大会実況担当だった時にお世話になった先生です。取材で群馬まで行きました。部室でニコニコしながら高校サッカーへの情熱を語ってくれたのを思い出します。そんなサッカーの取材の中で知った言葉があります。「サッカーは子供を大人に、大人を紳士に育てるスポーツである」大人になるとは、どういうことなのでしょうか。今日は、私なりの思いを語ってみます。
日本の法律では18歳が成人となりました。ただ成人の日に合わせた式典は「20歳(はたち)の集い」がほとんどです。18歳といえば高校3年生。受験直前のこの時期に成人式と言われてもねえ。なので世間では20歳で大人の仲間入りというのが一般的でしょう。でも、私は大人になるのは年齢とは関係ないと思います。だって小学生であっても「こいつ、大人だなあ」と思わせるヤツいませんでしたか?私は何人かいました。
最初に大人だなと思った人物に会ったのは小学1年生の時です。通っていた日曜学校でクリスマスに合わせて聖書の一節を暗記するコンテストがあったんです。一緒にいた子がとても頭が良くて、その子と競っていました。結果、私の方が少しだけ多く暗唱できて勝ちました。その子は私のことを「すごいねえ」と讃えてくれたのです。負けたと思いました。だって私が負けていたら悔しくて口をきいてなかったでしょう。相手を認めることができるなんて、大人です。
大人になることを教えてもらったのは中学1年の時でした。人気のスポーツはプロ野球です。実は関西でも全員が阪神ファンというわけではありません。当時は王貞治さんがホームランの世界記録に挑んでいました。王さんの人気で巨人ファンという子供も結構いたんです。実は私もその一人でした。そこに起こった「江川事件」。知らない方はググってみてください。騒動の最中に入学した中学の担任が猛烈な虎党でした。ホームルームで突然こんな質問をされました。「お前らの中で、巨人ファンはおるんか?」私を含む何人かがそっと手を上げました。するとその担任は衝撃の一言を放ったのです。
「おまえら、ええかげん大人になれよ」
それ以上は何も言いませんでした。でも、きっとこう言いたかったのでしょう。「ズルをしながら平気で球界の盟主ですみたいな顔しやがって。メディアの力かなんか知らんけどファンを金で買うようなやり方をする。そんなのに騙されるな。それを分かった上でもなお相手として認める。でも自分はズルいことをしない。それが大人や。阪神ファンなんや」この日を堺に私は阪神ファンになりました。大人になるということの話でした。
今日はここまで。読んでいただきありがとうございました。