可愛い子には旅させよ。小さい頃から一人旅をしています。最初は小学一年生の時だったと思います。当時沖縄に住んでいた母方の祖父のところに一人で行きました。確か「ちびっ子パイロット」という日本航空のサービスでした。到着口で祖父が待っていたので一人なのはほぼ機内だけです。
それからは毎年のように沖縄に行くのが夏休みの定番でした。小学三年生の時に沖縄で海洋博が開かれました。今の美海水族館のある場所が会場です。那覇の祖父の家から一人で海洋博に行きました。行ったことのある人はわかると思いますが、那覇からはバスや車で1時間以上かかります。今は高速道路がありますが、当時は国道です。2時間以上かかったのではないでしょうか。
今考えると祖父もよく行かせたと思います。祖母からお小遣いをもらいました。首からゴム紐のついたサイフをぶら下げてバスに乗りました。なぜか不安はありませんでした。その前にみんなで一度行っていたので会場の歩き方も心得ていました。
一日遊んで帰る時間になりました。祖父からは日が沈む前には帰ってきなさいと言われていました。あとからわかったのですが、日が沈む前に「家に」帰りなさいという意味でした。私が会場を出たのは夕日が沈む頃でした。
帰る直前に首に下げていたサイフがなくなっていることに気づきました。バスのチケットは持っていましたが、祖母からもらった大切なお小遣いをなくしてしまったのです。一気に不安な気持ちが押し寄せてきました。半泣きになりながらあたりを探しましたが見つかりません。
仕方なくバスに乗りました。那覇に着いたのはすっかり暗くなってからでした。その頃、祖父母は大騒ぎでした。もう少しで警察に電話するところだってそうです。家に帰ると玄関の前で祖父母が待っていました。祖母が駆け寄ってきて私を抱きしめてくれました。
「お小遣い無くしてしもうた。ごめんなさい」
そういうと祖母は泣き笑いです。そんな経験があるので私は一人旅のエキスパートです。
今日からまた旅に出ます。でも今回は二人旅です。帰ってきたらまた旅を語ります。しばしお休みです。
今回はここまで。読んでいただきありがとうございました。

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