旅の心得は全10回の予定です。ちょっとのんびりと旅を振り返り語っています。大学生の時に一人旅で海外に出て以来、旅の記録は日記に書くようにしています。その六です。
「旅の記憶は言葉で残せ」
旅の準備で用意するのが小さなメモ帳とペンです。バックパッカーで旅をし始めた頃は今のようなデジタル機器はありませんでした。インターネットもなかったので情報はもっぱら「地球の歩き方」でした。今思うと紙版の旅のSNSです。ライターが取材して編集者がまとめているのですが、役に立ったのが読者による現地情報でした。実際に旅をした生の情報が肌感覚の言葉で語られていました。その国の匂いが言葉から漂ってくるのです。それがまた旅への好奇心を増してくれたものでした。
今はスマホがあります。メモはもちろん写真や動画もたくさん残せます。旅をテーマにしたユーチューブもネットに溢れています。いくつかは今回のフロリダ旅行でも参考になりました。確かに便利です。私もカメラは持たず写真はスマホで撮りました。その一方で、旅の思い出がデジタルのフィルターを通したものだけになるのも違うと思うのです。何を感じたか、何を思ったか。言葉で残すことで旅の記憶はより豊かに残るのです。
WDWでちょっと気になったシーンがありました。今やスマホを常に手にしているのは世界共通です。入場列に並んでいる時も多くの人がスマホを覗き込んでいました。もったいないなと思いました。ディズニーリゾートが好きな人はわかると思います。多くのアトラクションは入り口から搭乗するまでの過程が楽しいのです。細かな仕掛けや工夫があります。それ自体が物語になっていて気持ちを盛り上げてくれます。スマホではなくそこにある世界に溺れてみれば、搭乗口に着いた時にはすっかり映画の主人公になれるのに。
もう一つ。ディズニーのショーは最高です。いくつものショー型のアトラクションを楽しみました。演技、歌、演出すべてが超一流です。エプコットではちょうどアートウィークでした。特別ステージにブロードウェイの主役経験のある歌手が登場しました。ミュージカル版アナ雪のエルサの初代主演とライオンキングのシンバ役の男女二人です。スピーカーだけではなくステージから地声の響きが伝わってきました。本物の凄みを全身で感じました。遊園地のショーでこれが楽しめるのがディズニーです。ただここでも個人的に思ったことがありました。歌い終わった時の観客の拍手が物足りないのです。基本的に園内はスマホ撮影OKです。みんな感動して「ブラボー」とか声は上げているのですが、手がスマホでふさがっています。全体の拍手の数が少ないのです。
ちょっと痛くなるほど拍手したなあという五感の思い出はスマホには残りません。言葉で残すことで旅の記憶は深くなるのです。
今回はここまで。読んでいただきありがとうございます。次回をお楽しみに。