ロバートレッドフォードさんが天に召されました。RIP。世界的に有名な俳優さんです。アランドロンさんと並んで、男前の代名詞みたいな方でもありました。とは言え、世代としては私の上です。子供の頃に金曜ロードショーなどテレビで放映される映画で見かけていたぐらいです。訃報のニュースに触れて思ったのが、あの時代の洋画についた邦題のセンスの良さです。そんな話を語ります。
レッドフォードさんの代表作「明日に向かって撃て」の原題は「Butch Casssidy and the Sundance Kid」です。直訳してしまうと「ブッチとサンダンス」主人公の名前です。直訳のタイトルで公開されていたら日本でのヒットはなかったと思います。訳者をネットで調べてみましたが、この人という方には辿り着けませんでした。それにしてもこの言葉のセンスの良さです。しかも映画の中には台詞としては出てきません。映画のテーマを訳者が解釈してコピーライトしたのです。一昔まえの洋画の邦題は秀逸なものが多いです。
「愛と青春の旅立ち」は原題「An Officer and Gentleman」「天使にラブソングを」は「Sister Act」などなど。英語の原題だけを見ると、こんな映画よくヒットしたなと思ってしまいます。みやながたりの勝手な推測ですが、マーケティングや宣伝の方法が大きく違うのでしょう。日本人は言葉を重視する文化ということが一つです。俳句や川柳の文化を持つ日本語は、短い言葉でも物語を紡ぐことができます。短さが求められる映画や本などのタイトルも、その言葉で物語が浮かぶように作ることができます。英語は説明的な言語なのでシンプルにりがちです。そのかわりに洋画は映像で視覚に訴えます。「ブッチとサンダンス」もレッドフォードとポールニューマンの超かっこいい二人が銃を持って駆け出すシーンのポスターに惹かれて映画を見たくなります。
もう一つは欧米、特にアメリカは「まず見てみる」文化だからだと思います。面白いかどうかは見てみないとわからない。まず映画館に行ってみる。対して日本人は面白いと思うものを見る文化です。エンタメにも担保を求めがちです。なので惹かれるタイトルがまず必要なのです。どちらがいいというのではなく、文化の違いです。
商品についても考え方、文化の違いが現れます。一緒に作っていく、育てていくのか。完成品を消費するのか。前者の代表はiphoneに代表されるアップルです。後者は日本車。まずやってみる、使ってみるか、安心保証のあるものを買うのか。ただ、この日本らしい文化にも少し変化が見えてきています。特にエンタメの世界でです。いわゆる「推し活」です。未完成のアイドルやアーティストの成長を応援する。そこには自分も一緒に成長していきたい思いがあるはずです。
当初のテーマから少し逸れてしまいました。日本語の表現力の素晴らしさについて深めていこうと思ったのですが、書いていくうちにこんな方向になってしまいました。ただ違いのある文化が混じり合って新しいものが生まれるのは面白いです。こんなふうに英語の原題と邦題に違いを比べることで、言葉と文化がどんな風に混じり合っていくのかを考えるのも面白いです。今、大ヒットしている実写邦画「国宝」が欧米で上映されるときは「Kokuho」だそうです。直訳の「National Treasure」ではあの世界観は伝わりませんからね。世界的な大ヒットになればまた、世界に通じる日本語が生まれますね。
今回はここまで。最後まで読んでいただきありがとうございました。また次回をお楽しみに。これからもよろしくネ♪