講談界のホープ、神田松麻呂さんの公演にゲストとして参加させていただきました。もちろん落語家「語亭みーや」としてです。松麻呂さんは人間国宝の三代目神田松鯉さんの弟子で、今一番勢いのある二ツ目です。いやあ、熱のある高座は見ていて、こちらまで熱くなりますね。今回は全国縦断ツアーの札幌公演でした。STVラジオのポッドキャストで番組「よそで言っちゃダメですよ」を持っていることから、ご縁があって声をかけていただきました。
私が披露したのは、いま力を入れている「防災落語」です。古典の「まんじゅうこわい」をベースに大胆にアレンジしたオリジナルのネタです。以前にもこのブログで紹介しました。今回も、お客さんには笑ってもらい楽しく防災を知っていただけたかなと思います。まだまだ足りないところがあるのは毎度のこと。かける度に磨いていくのも落語をやる楽しみでもあります。今回、松麻呂さんも歌舞伎を題材にした講談の一席の中で「名人と言われる役者であっても、常に発展途上。自分の芸を磨き続けるその過程にこそ価値がある」というようなことを伝えていました。松麻呂さんも、自身の心を重ねて演じているようでしたね。
昨今の時世は、どうも窮屈です。防災落語を広めたいと思う理由は「多文化共生」をやさしい心で見てほしいからです。まず防災です。災害は誰にでも降りかかります。貧富の差や人種、性別、年齢など関係なく人類にとっての課題です。どんな金持ちでも災害に遭うことはあるからです。新型コロナのパンデミックを振り返ればわかると思います。自分だけは大丈夫などあり得ません。防災はどんな立場にある人でも一緒に向き合える課題です。共に生きるため、生き残るために多様な視点から考える。まさに多文化共生を考える生きた教材なのです。
もう一つの「やさしい心で見る」には落語です。落語にはいろんな登場人物がいます。だいたいがどこか抜けています。それでいて憎めない。軽口をたたき合いながらも、お互いを尊重しています。本来の日本人がもっている「許す」というやさしい心に溢れている世界です。全く違う個性の集まった長屋の連中が、共に生きるための知恵を出し合う噺は、まさに多文化共生です。
この二つを組み合わせてつくったのが「防災落語」です。〇〇ファーストという言葉が広まって、自分さえ良ければとか、自分の国だけはとか、視点が内向きになっています。もっと外からの視点や、外に向けての視野を広げた方が良いと思うのです。世の中は、いろんな人がいて成り立っています。ダーウィンの進化論にもあるとおり「違い」は生物にとって不可欠なものです。違うことこそが価値なのです。
今回はここまでです。最後まで読んでいただきありがとうございます。次回をお楽しみに。これからもよろしくネ♪

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