なんのために勉強するのか?学校の勉強って必要なの?だれもが一度は思ったことがあるでしょう。ひとつの答えを高校生に教えてもらいました。札幌市立高校のプレゼンテーション大会が開かれました。市立高校の代表生徒がそれぞれの学校で何を学び、どのように成長しているのか。一般市民を含めた皆さんにプレゼンするというイベントです。私は講評者として招かれ、高校生たちの素晴らしいプレゼンを聴くことができました。昨年に続いての参加でしたが、今回はさっぽろ創世スクエアのスタジオでの開催です。となりには図書館があり、オープンスペースではポスター発表もありました。
「学びは自分を知るためにある」
高校生が出した一つの答えです。今の高校生たちの環境は、我々の想像のはるか斜め上を行っています。教育現場の皆さんにはもはや常識なのかもしれません。恥ずかしながら私は勉強不足でした。公立高校の学習環境が進化しているのに驚きました。大きな要素は「探求」です。知りたいことを探求する中で、自分は何が好きで、得意で、どうありたいかを深く掘っていくのです。その活動は校内にとどまらず地域のボランティアや大学生との交流、市や企業のバックアップによるイベント開催など実践的です。講評のなかでこんな言葉をおくりました。
「人の心は、出会った人でできている」
人の体が食べたものでつくられているのと同じく、心は出会った人によって形づくられている。私が大切にしている考えです。高校生活というと学校の中だけだと考えてしまいます。しかし今の高校は教育現場の努力によって生徒にも地域にも開かれた場所になってきています。それは出会える人の数を多くしようという試みです。教育は社会に出るための準備です。地域の仲間として共に社会をつくっていくためです。社会とつながる時に大切なのは、自分を知ってもらうことです。自己紹介ができることです。そのために自分を知る。社会人の大人も求めているキャリア形成の根幹を高校生が学んでいるのです。素晴らしいと思いました。
日本の教育現場は大学全入時代になり教育費の無償化が進み、学びの場は数字上は確保されています。さらに生成AIの登場と進化で勉強の在り方や旧来の受験システムも大転換期を迎えています。学びとは何か?何のために勉強するのか。社会全体が問われている今、実は高校生自身がその答えを自ら見出しているのです。では私たち大人の役割はなにか。若い力がやりたいことを実現できる環境を用意することです。
「こうしなさい」ではなく「こうなりたい」を叶えてあげる。それが社会課題の解決の近道だと確信しました。
今回はここまで。読んでいただきありがとうございます。ではまた次回をお楽しみに。