世の中は狭いなあ。という時は大概、世間は狭いという意味で使います。今回は、私が住んでる世界は狭いということを語ります。つまり、この世の中には知らないことが、まだまだたくさんあるということです。
日本語の教師を始めて3週間が経ちました。私のクラスには中東から東南アジアの5カ国の学生がいます。夢多き20代の若者たちです。日本で夢を叶えるために頑張っています。当然、バックグラウンドには、それぞれの国の事情や文化を持っています。日本が好きになったきっかけは、アニメなどの日本文化です。日本の歌をカラオケで歌う学生もいます。
そんな彼ら、彼女らですが、先週の授業で、びっくりしたことがありました。会話の練習をしていました。テキストの見本に、こんな会話が出てきました。舞台はカラオケです。何を歌うかを相談しています。
「英語の歌は、どうですか?ビートルズを歌いましょう」
私は、学生に聞きました。「ビートルズは知ってますか」みんなポカンとしています。「知りません」一人を除いて、知らなかったのです。私はイエスタデイを鼻歌で歌ってみました。「知りません」ジョンレノンもイマジンも知りませんでした。
テキストを書いた人は、世界で一番有名なバンドとしてビートルズを使ったのでしょう。世界中の誰もが知っていると思いますよね。そのテキストには、英語と中国語が併記されています。しかし私のクラスの中には英語圏の人も中華圏の人もいません。そうではない国、地域の言葉と文化を持つ人がたくさんこの地球上には暮らしています。
もちろん年代の違いもあるでしょう。社会主義国で西洋文化が制限されてきた国や地域もあります。イマジンはオリンピックの閉会式でも歌われていて、平和の象徴として参加したアスリートたちも口ずさんでいます。でもオリンピックでさえ、興味をもってみている人は限られているということです。ちなみに20202東京五輪の世界の視聴者数は30億人とも言われています。ただし、のべ人数です。実数で言えば、私の感覚では数億人ということになるでしょう。
なんと狭い世界に、私は生きているのでしょう。そんな現実を突きつけられました。でも、同時に広い世界も教えてくれました。ある女性の学生が好きな歌はアンジェラ・アキさんの「手紙 十五の君へ」だと教えてくれました。私も大好きな曲です。こういう言い方をしたらお叱りを受けるかもしれませんが、世界の中では本当にちっぽけな歌です。でもアジアの小さな国から日本にやってきた一人の女性の心を支えているのです。
私が住んでいる世界は、狭くて小さいのだと知らなくてはいけません。でも外の世界はとっても広くて大きくて、可能性に満ち溢れていることも知らなくてはなりません。そして、二つの世界をつなぐのが歌であり、言葉であるということを実感したのです。
今回はここまでです。最後まで読んでいただきありがとうございました。また次回をお楽しみに。これからもよろしくネ♪

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