C-3PO

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生成AIが生活や仕事を変え始めています。ものすごいスピードです。こうしたテクノロジーは映画やスポーツ、エンタメの現場でいち早く導入されます。これまでも使い方の賛否や試行錯誤がある中で進化してきました。SF映画において技術革命を起こしたのがスターウォーズです。1977年の公開当時の最先端撮影技術は今から見ればアナログで手作りです。だからこそ先端技術をどう使い、進化させればいいのかの真髄が詰まっています。スターウォーズセレブレーション(SWC)のパネルと呼ばれるステージイベントで胸に響いたそんな話を今回は語ります。

SWCでは様々なパネルが展開されます。新作の発表やトークイベントでサプライズゲストも沢山登場します。人気のパネルは事前にネット予約が必要です。これも争奪戦になります。ただ当日も早くから並べば入れることもあります。開幕の2ヶ月ほど前だったでしょうか、ゲストのラインナップが発表されました。その中に「アンソニー・ダニエルズ」の名前がありました。映画公開第一作から全映画シリーズに出演しているアンドロイド「C-3PO」の中の人であり、あの独特の声も担当しているレジェンド俳優です。50年近いSWの歴史そのものがアンソニーさんなのです。

「おー、そのTシャツいいね!気に入ったよ」

イベントのメニューを見るとサイン会と写真撮影会がありました。もちろん申し込みました。C -3POとR2D2のドロイドコンビはSWのもう一つの主人公でもあります。SWは一説には黒澤明の「隠し砦の三悪人」をモチーフにしていて登場する二人の農民がドロイドのヒントになっていると言われています。とにかく一生に一度の機会です。ユニクロで作ったC-3POのイラストをあしらったTシャツを着て撮影会にいきました。さすが人気のダニエルさん。長い列に1時間ほど並んで順番待ちです。壁で仕切られた部屋が撮影場所です。なかなか列が進まない中、部屋から突然ダニエルさんが私たちの前に現れました。ファンサービスです。手を振りながら小走りに十数秒。大歓声です。ハリウッド俳優のファンファーストのエンタメ精神を見ました。いよいよ私の番です。目の前に憧れのC-3POが立っています。私のTシャツを見るなり肩を抱いて言ってくれたのが「おー、そのTシャツいいね!気に入ったよ」でした。もう泣きそうになるぐらい幸せな瞬間でした。

声と肉体で映像に命を吹き込む

最終日のパネルにアンソニーさんとジャージャービンクス役のアーメド・ベストさん、K -2SO(ローグワンのドロイド)役のアラン・デュディックさん、司会にアソーカ・タノの声優アシュリー・エクスタインさんが登場しました。早い時間に列に並びステージに近い席に陣取ることができました。全員がSWシリーズの人気キャラクターです。(気になる方は調べてくださいね、笑)これが感動のステージだったのです。ステージ上の俳優は直接顔が出ていません。CG技術が発達して以降はドロイドやクリーチャーは画像処理でスクリーンに登場しています。それでもSWのジャージャーやK -2SOは俳優が現場で演じています。ただいわゆる”外側”はCG処理です。そんな中で C-3POだけはアンソニーさんがシリーズを通して外も含め肉体と声を使って演じてきました。SW最初の作品「新たなる希望」にまつわる話から、いかに肉体で演じることが大切で、それが今に至るまで受け継がれてきているかが語られました。

C-3POの表情

ネタバレになりますが、超有名な映画ですからいいでしょう。「新たなる希望」でダースベーダーとオビワン・ケノービが戦いオビワンが切られます。オビワンは主人公ルークの恩師です。悲しみに暮れるルークを見るC-3POの顔がワンカット登場します。C-3POは目も口も動きません。表情のない機械の顔です。この時は無言です。しかし「このワンシーンこそがドロイドに心が吹き込まれた歴史的な瞬間だったんだ」とステージで語られました。そこから今に至るまでSWシリーズのドロイドやクリーチャー役の出演者は肉体と声で演じることの大切さを受け継いできたのです。そんな話がすごい熱量で交わされました。もちろん笑い話も交えながらです。最後はレジェンドのダニエルさんにスタンディングオベーションです。本当に自然と会場の全員が目一杯のリスペクトと感謝を持って立ち上がり万雷の拍手をおくりました。ダニエルさんが目尻に光るものを人差し指で拭いました。

伝統芸能

どんなに技術が進歩しても最終的に人の魂が込められなければ人の心を捉えることができません。生成AIも同じでしょう。パネルで語られたシーンを改めてディズニープラスで見返してみました。C-3POがルークに寄り添うような悲しい表情をしているのす。「能」の演技なのです。能面は表情が物理的には変わらないお面です。しかし肉体の演技によって感情を浮かび上がらせる日本の伝統芸能です。ジョージ・ルーカス監督はここにも日本の文化を織り込んだのかもしれません。そして演じたダニエルさんの演技力の凄みを知ることができました。これまでと違う深さでSWを見返すことができました。SWCに参加できて本当によかったです。

今回はここまでです。読んでいただきありがとうございます。次回もSWCについてです。お楽しみに。


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