ビューティフルネーム

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ゴダイゴの曲で大好きなのが「ビューティフルネーム」です。ひとりづつひとつの大切なもの、それは名前、それは命と歌っています。世にある言葉の中で一番大事だと思います。戸籍に名前の読み方を記載するように法律が改正されました。2025年5月から施行されます。いわゆるキラキラネームに制限がかけられるとニュースで報じられています。例えば「太郎」という漢字表記で「ジョージ」と読むのは認められません。そりゃそうだろう!とツッコミたくなります。ただ一方で「陽翔」は男子の名前ランク上位ですが、何と読みますか?はると、ひなた、あさと、ひゅうが・・・・。ニュースに出てくる個人名もフリガナがないと正確に伝えられなくなっています。

「名は体を表す」

名実相応という言葉もあります。名前と実態が一致するという意味です。親は生まれてきた子供に思いを込めて名前をつけます。誰かが勝手につけるものではありません。願いや祈り、希望を言葉にしたもの。それが名前です。落語にも「寿限無」という有名な話があります。長い名前の通り元気で腕白な子供の話です。私も高座にかける得意ネタでもあります。(ちなみに私の高座名は語亭(かたってい)みーや)今回の戸籍法改正は時代に合わせたもので理解できます。読み方も含めた想いが日本語の名前にはあるからです。アルファベットなどの表記である他国にはない文化です。ここにも日本語の幅の広さ、表現の豊かさがあります。

「空飛ぶクルマ」?

そんな豊かな日本語の名前なのに最近ずっと気になっているのが万博で披露されている「空飛ぶクルマ」です。誰がどう見てもクルマではありません。この名前からみんなが連想するのは映画バックトゥザ・フューチャーのデロリアンです。今ある自動車の延長線上に開発されたものです。しかし今飛んでいるのは新型のヘリコプターです。羽根が複数あるのでマルチコプターといってもいいでしょう。ここからは個人的な推測です。

「いのち輝く未来社会のデザイン」

大阪・関西万博のテーマです。未来社会という言葉がポイントです。「万博=未来を見せる」という固定観念がありませんか。確かに70年の大阪万博は未来を見せてくれました。当時は日常になかった技術や製品が展示されていました。55年たった今、それらは日常になりました。当時描かれた未来は現実となっています。しかし今回の万博はもう未来を”見せる”場所ではないと思うのです。では何か。私は未来を”考える”場所だと定義します。まだ現地を直接取材していないので確信を持っては言えません。いろんな方が伝えている現地の様子からの想像ですが、各パビリオンが展示しているのは「今ある世界」に感じます。それらを見た中で、この先の未来をどう描くのか”考える”のが今回の万博の価値です。その中で未来を”見せよう”と頑張り過ぎてしまったのが「空飛ぶクルマ」ではないでしょうか。

「エア・モビリティ」

欧米ではこう言っています。これでいいと思います。SF映画に出てくる夢のような空飛ぶ車は今の技術では無理です。「空飛ぶクルマ」という名前は、あたかもそれが未来の車であるように勘違いさせています。名前と現実のギャップに返ってガッカリ感が増してしまいます。パーソナルヘリとかエアライダーとか体にあった名前をそろそろつけたらどうでしょうか。万博そのものについては現地取材をした上で別の機会に語ります。

今回はここまでです。読んでいただきありがとうございます。また次回を楽しみにしてください。


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